高校生による舞台芸術公演の劇評(レビュー)を募集

第一回グランプリ 受賞作

優秀賞

衝撃が半端じゃない

都立若葉総合高校 2年 奈良弥春

 劇評なんて書いたことないから書き方が分からないので私なりに書こうと思う。12月中旬にパルコ劇場で「高校中パニック!小激突!!」という舞台を観た。作・演出は今をときめく(私の中ではずっと前からときめいてたし!)大人計画の宮藤官九郎様。自らのコメントで「バカロックオペラバカ」と言っていたのでジャンルが全く分からないけどとにかくバカという前情報だけで観劇した。私が大人計画のファンということもあり、クドカン(以下敬称略どころか愛称で失礼します)作品を観ることは多かったがクドカンの舞台を生で観るのは初めてだった。まず、開幕のことから。といいたいところだが、この舞台、客電つきっぱなし、客席通路からなんのことなしに登場した皆川さんと勝地さんの掛けあいから始まった。あまりにも突然なしょっぱなからインパクト大な演出だった。だって皆川さん女装なんだもん。JK役なんだもん。オープニングから予想通りバカだ。生演奏とバカ極まりないセリフたちのステージがカッコ良くて泣いたのは私自身脚本を書く人間だからだろうか。音楽がラップやロックやミュージカル風だったりとジャンル豊富で毎回そのシーンに合っていてバランスがよかった。もちろん歌詞は酷いんだけど。グレ高とヤバ高が対立してるのに自分の大切な人は敵校にいるから結ばれないという生徒であったり教師の気持ちを笑いで表現できることに驚いた。地味にツボに入ったのは各校歌に必ず入ってるワードが乳首であること。それに対する「校歌なのに乳首が3回も!」という当たり前なセリフがパンチを効かせていた。お客いじりやあまちゃんネタなど入れ方によったら失敗しかねないのにうまく笑いをとれていて尊敬する。先生の名前がウィスパー夜よ先生だったり風邪気味くんだったりゆうすけ7ツ子のなまえが「ゆうすけA」「ゆうす子」「やっぱゆうすけ」とか全方向から笑わせにかかってる遊び心が最高だ。「風邪気味って何%?」「……50%」「じゃあ元気気味ジャン!」て、そんなセリフありかよ!! センスだけでできてるんだろうな。あと何をしたらおもしろいのかがわかってるからクドカンはすごい。

 ここまでひたすらバカさがすごいって話をしていたが、それだけじゃないわけで。「どうして泣いてないの? クラスメイトが死んじゃったんだよ? 悲しくないの?」とクラスメイト全員泣いているのに一人ヘラヘラしている佐藤隆太さん演じる痛みや悲しみが遅れてくる役。じゃあ普通は悲しいと泣くの? など色々考えさせられた。2校が争い、大切な人が敵校にいる人間が歌う「高校が違うから」的ニュアンスの歌。歌詞の中に「戦争はなくならない」と入っていたのを聴いた時完全にやられた。ストレートにそのテーマを表現するより何倍も深い。バカなだけじゃない。だからしびれる。キャラの立て方が上手い。どの役も欠けたらダメ。そんな舞台、作品を観れたことが何より幸せ。劇中の一番好きなセリフは「屈託のない笑顔」。コレ書き言葉的なアレじゃないんだ!って思い衝撃を受けた。でもやっぱ、生演奏はずるい。かっこよすぎるもん。

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