高校生による舞台芸術公演の劇評(レビュー)を募集

ミュージカルの劇評

萩尾 瞳(演劇・映画評論家)
(11月22日 『モーツァルト!』観劇 レクチャーより)


 「楽しかった」、「哀しかった」、「面白かった」などの第一印象を大切に、どうしてその第一印象が出てきたのかを、3つの構成要素から分析してみることがミュージカルの劇評です。
 そして、3つの要素を一つ一つ分析しながらも、その一つにとらわれるのではなく、全体としてどう見えたかが大切。
 すごく緻密な分析よりも、最初の素直な感情をぶつけた劇評を期待します。

ミュージカルの主な構成要素は3つ

芝居 PLAY
 …台詞や歌詞など、言葉で構成される芝居
音楽 MUSIC
 …心情を伝える歌、音楽
ダンス DANCE
  …単なる踊りではなく、ストーリーに関連した意味があるダンスや振付

ミュージカルの演出、演出家

 同じ作品でも演出家によってまったく違ってくるもの。演技の演出はもちろん、装置や照明など全体を見て場面転換をスムーズに作ることも演出家の仕事に含まれます。
『モーツァルト!』は評伝ミュージカル。モーツァルトの才能の象徴を、アマデという存在で可視化したことにより、作品のテーマがわかりやすくなっています。

ナンバーとアンダースコア(背景音楽)

 ミュージカルで使われる曲一つ一つを「ナンバー」といいます。その作品のテーマ曲をさがしてみると、作品の分析がしやすくなります。
 『モーツァルト!』だと、「影を逃れて」がテーマ曲だと解釈する人が多いかもしれないが、どのナンバーをテーマ曲ととらえるかは人によって違っていて構いません。
 また、ある場面で歌われたナンバーが、他の場面でアンダースコアとして流れていることがあります。その場面でなにを表そうとしているのか、アンダースコアの意味することを考えるのも大切です。
 『モーツァルト!』のような音楽的に緻密に作られた作品であれば、テーマ曲やアンダースコアの使い方など、音楽だけから分析していくことも面白いでしょう。

ダンス

 振付は、作品のテーマ、登場人物のキャラクターを考慮してなされるべきものです。
 『モーツァルト!』は、ダンスは少ないが、人形振りの振付も、何かに操られている人間の有り様を表現していて、ストーリーと関連しています。

俳優

 劇評では必ず俳優について書くこと。まず主人公、次にサブ、次に突出した人がいれば触れるのが礼儀。俳優によって作品は変わるものなので、キャスティングについて触れることは大切です。

音楽(演奏)

 音楽は、演出・演技と同じくらい重要。テープを使用していることもあるが、演奏の音も作品要素の一つ。生演奏が前提のオペラでは、オーケストラの演奏を批評することはあたりまえで、ミュージカルでもオーケストラの音について耳を澄まし、言及したい。
 『モーツァルト!』は生演奏、しかも27人編成というオーケストラがついていますが、これはとても贅沢なことです。

劇評を書く意味

 最初の素直な感情をぶつけて書き続けていくうちに、どんどん蓄積ができます。舞台を創る上でも、作品を分析・批評する経験は役に立ちます。

レクチャーの様子

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